相続財産の大半が上場株式だった相続

== 状況 ==
証券会社の担当の方から、ある上場会社の役員だった方の相続案件を紹介いただきました。お伺いしてお話をお聞きしたところ相続財産の大半がお勤めになっていた上場会社の株式でした。急成長した会社で、古くから所有されている株式の評価額は数億円になっていました。
相続の申告で問題になりそうなことがふたつありました。ひとつは相続人の方は奥様とお嬢様2人だったのですが3人とも専業主婦なのに、かなりの預貯金をお持ちでした。ふたつめは、かなり株価の高い銘柄だったのですが市況の悪化で相続以降かなり時価が下がってしまっていたことです。

== 対応 ==

ひとつめの問題については、相続人の方にじっくりお話をお聞きしました。すると随分以前に、お父さんから株式の贈与を受けたことがあるそうです。何か証拠がないか捜してもらったところ、数十年前の贈与税の申告書が出てきました。相続人の方が生前に贈与を受けた株が値上がりして現在の預金残高になったことの間接的な証拠になりました。税務調査の時は調査官も納得せざる得ませんでした。

ふたつめの問題ですが、相続税の納付の方法には現金納付と物納というふたつの方法があります。物納とは相続した財産で相続税を納めることです。この方法だと株式を相続当時の高い株価で評価してもらうことができます。税務署に相談の上、物納申請をして「物納許可通知書」をもらうことができました。
当時の株式による物納の手続は株式の名義を財務省に変更した上で税務署に持参です。相続人の方に同行して税務署にいって手続です。「物納財産収納済証書」を受けたときはほっとしました。物納を認めてもらった株式の価額が相続税評価額より3千万円も下がっていたからです。この手続は数十万で受託しました。
納税者の方には「もっと請求していただいてもよかったのに・・」と喜んでいただけました。